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プロダクトライン開発の効果が見えるのは

2010.11.07(21:06)

プロダクトライン開発の効果

プロダクトライン開発をはじめると実際には以下のようなステップになります。話しを簡単にするため、ラインナップに属する複数の機種を1年に1回ずつまとめてリリースしているとします。

(1) まず旧機種資産の1つを選び、それを最初の年に共通部と可変部に分ける。それで最初の機種を出す
(2) 次の年に、1年目で作った共通部を使って、2つ目の機種が出せるように、その共通部と2つめの機種用の可変部とに分ける。それで2つの機種を出す
(3) その次の年には、共通部を使って、3つ以上の機種を出す。

これを見るとわかるように、最初の1年では、何も変わっていないように見えます。ソースコード行数もそれほど変わらないし、できる機種は1つだけだし、手間がかかっただけで何も効率化しているように見えません。

ほんとうに効果が出るのは2周目、2年目からです。そこでは同じ共通部から2つの機種を出すので、初めて、総ソースコード行数が削減されます。ソースコード行数が少なくなれば、品質は確実にあがります。設計を見直す効果も大きいのですが、実際にはソースコード行数が少なくなるほうが品質向上に効果が大きいです。共通部はテストも共通で済みます。

そして、めざましく効果が出るのは3周目、3年目からとなります。

図面では微妙ですが、毎年その製品に入る機能は増え続けるので、1つの機種にはっている総ソースコード行数は少しずつ増えてゆきます。共通部を増やすことと、総行数が増えてゆくのと追いかけっこになります。

また1年目の共通部と、2年目の共通部、3年目の共通部は同じではありません。少しずつ中身を入れ替えながら大きくなっています。大きくなる理由は、最初の機種であっても、そのままではなく、前年の可変部の中を、さらに、共通部と可変部に分ける取り組みを続けてゆくからです。

これらの取り組みを続けて、毎年毎年共通部を増やし可変部を少なく局所化する取り組みを絶え間なく続けることが、プロダクトライン開発の取り組みとなります。

私の知る限り、最初からラインナップ全部の製品を一度に入れ替えるというプロダクトライン開発というのは聞いたことがありません。まずは1つの機種から試してみる、一歩ずつ効果を確かめながら、徐々に加速してゆくのがプロダクトライン開発の普通の進め方だと思います。

本質的に、なかなか短期間で効果を見せることができないのがプロダクトライン開発なので、しばらくはがまんが必要です。上司があまりに短期の効果ばかり要求しているところではなかなかうまくゆかないかもしれません。
プロフィール

島敏博

Shima Toshihiro 島敏博
信州アルプスハイランド在住。HaskellとElixirが好き。組み込みソフトウェアアーキテクト、C++プログラマ、山歩き、美術館巡り、和食食べ歩き、日本赤十字社救急法指導員、インデックス投資、クラシック音楽、SESSAME会員、状態マシン設計、モデル駆動開発、ソフトウェアプロダクトライン、Rubyist、実践ビジネス英語

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